渥美清さん演じるフーテンの寅さん
中高年の日本人なら誰でも知っているキャラクターだ。
その寅さんが同業者に対してのあいさつ、いわゆる仁義を切る時に使う口上の出だしは次のとおりだ。
遅ればせの仁義、失礼さんでござんす。
わたくし、生まれも育ちも東京葛飾柴又です。
渡世上故あって、親、一家持ちません。
カケダシの身もちまして姓名の儀、一々高声に発します仁義失礼さんです。
帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎。
人呼んでフーテンの寅と発します。
見方によっては、寅さんが生まれてから就職するまでの流れを紹介している。
さて、私は、生まれも育ちも九州だが、数年前に孫が生まれ、幼稚園に行き始めた頃から「じいじ」と呼ばれている。孫からだけでなく妻や娘からもだ。
自分の顔は自分で見えないので老けているのか分からない。
「じいじ」=「お爺ちゃん」になる前は、当然、中年で「おじさん」=「オヤジ」で、もっと若いころは「兄ちゃん」だった。
ところで、いつから「おじさん」と呼ばれるようになったか記憶がない。
特定の年齢で「おじさん」になった訳ではないから、グラデーションの色が変わるように徐々に「おじさん」と呼ばれるようになったのだろう。
たぶんそうだ。
若者から初めて「おじさん」と呼ばれた時がきっと私の転換点だったのだ。
また、見た目の老け具合は体重も関係しているかもしれない。太っていると老けて見え、痩せていると若く見える感じがする。
私は、身長は173センチで変わらないが、体重は20歳=60キロ、25歳=80キロ、30歳=68キロ、35歳~60歳=76~8キロ、60歳~64歳=78キロ前後で推移している。
若いころは本人の自覚のないまま「おじさん」と呼ばれるのは抵抗があったが、25歳になった頃に一時的に激太りしたときの自分の写真を見ると確かに老けて見える。
25歳のころの顔はおじさんそのものだ。
その後、30歳前後でダイエットに成功したものの、その後は徐々に体重が増え始め、ぽっちゃり型の体形を維持しながら年齢を重ねている。
その後も加齢と共に、見かけも考え方もおじさんらしくなり、「おじさん」と呼ばれることへの抵抗感は消え去り、いつの間にかすっかり中年オヤジへと変化していった。
ただし、見た目だけはなんとか若者に擬態しようと頑張る。
ジムに通って筋トレに励み、筋肉をつけ老人とは言われないように・・・。
振り返ってみると中年オヤジの時代って長かった。
人生の大半は中年オヤジとして生きてきた感じさえする。
中年、オヤジ、おじさん、オジン・・・。
なんとでも言われてきたが全ての呼び方に悪意を感じた。
そうこうしているうちにとうとう老人になってしまった。
老人というのもまた、いつから老人になったのかはよくわからない。
明確に特定年齢での線引きはおそらくない。
しかし、現時点で年金を貰っている人は、だいたい老人と言っていいのではないだろうか。
すると年金を貰い始めると途端に中年オヤジからおじいちゃんに呼称が変わる。
「おじいちゃん」
いいね!
オヤジよりうんと響きが良い。
それにしても男の中年は周りからの忌み嫌われ方が厳しかったよう感じだった・・・
特に最も自分の理解者だと思っていた家族からの批判は悲しかった!
特に娘を持つ父親は哀れだ。
うちの娘は幼いころからお父さんっ子だったから、世間で言う所の父と娘の関係と比べるとそうでもなかった。
しかし、私の知り合いの家では、娘から洗濯物を別洗いにして、と言われていて、それで奥さんは娘と父親の洗濯物は別で洗っていたようだ。
私の家でもそうしていたかも。私が鈍感なだけだったかもしれない。
思春期の娘を持つ親ならよく聞く話だ。
ただ知人は笑って話していた。
結局、父親の洗濯物は犬の足拭きタオルと一緒に洗濯されていたそうだ。
中年になると父親は犬同等の扱いとなってしまう。
実に悲しい。
ただ世の中年オヤジがみな忌み嫌われている訳ではない。
若者から尊敬を集めている中年オヤジもいれば、その逆に嫌われるオヤジがいるということだ。
それでは嫌われる中年オヤジとはどういうものなのか。
ある雑誌に、周りから嫌われてしまう「40男」に共通する4つの特徴が掲載されていた。
⓵「自分は例外的に若い」と思い込んでいる
見た目が若いと言っても、大きな差はないことを自覚する必要がある。
⓶仕事というフィルターを通して世界を見るクセが染み付いている
楽しい飲み会の席で、仕事の話は避けた方が良いかも。
⓷過去の自慢を吹聴する
中年オヤジの自慢は恥ずかしいだけなので、なるべく早く止めた方がいい。
④変なプライドが邪魔してうまく人との距離を縮められない
男は幼少のころから競争するように育てられており、変なプライドが邪魔してコミュニケーションを取るのが下手である。
その他の雑誌では、若者は「若さを求めるおじさんが嫌い」とあるそうだ。
そっか~
おじさんが若さを求めて何が悪いの?と私は思ってしまうが、どうやら、おじさんのくせに無理やり若者に擬態しようとするのが嫌いなのだろう。
常にアンテナの向きを若者と同じにして、今のトレンドや流行り物に敏感。
そしてそれをひけらかす中年オヤジ。
何かとマウントをとろうとするおじさん。
たとえ話に若者の間の流行り言葉を交えてくる。
おじさんは今どきの流行りの歌を知らないのでカラオケで昔懐かしいヒット曲を歌う。
まあ確かにそういう親父はいるよな。
私もすこーし当てはまるところがあった。
他にも・・・。
と、こういう中年オヤジが嫌われるらしい。
まあなんとなくわかるかも。
しかし私はなんと言われようともう余裕だ。
中年オヤジじゃなく、立派なおじいちゃんだし。
ただ、老人になると老害というこれまた迷惑な人たちがいる。
もしかするとだが、中年オヤジの時代を勘違いして過ごしたおじさんが迷惑老人へと変化するのではないだろうか。
最近、失言や問題行動で迷惑をかけている老人たちの顔が思い浮かぶ。
この場では特定の名前は出せない。誰であるかは皆さんの想像にお任せする。
嫌われる中年オヤジが脱皮し、嫌われる迷惑老人へと変化を遂げているのだ。
一番の問題は本人たちがそのことに気づいてないこと。
哀れな話だ。
男は中年オヤジ=おじさんの時代をどう生きるかでその後の人生が決まる。
中年オヤジ、頑張れ。しっかり働いてたっぷり稼げ。
オヤジの生きざまを妻や子どもに見せるんだ。
ファイト~
男はつらいよ( ;∀;)
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