60歳で37年間勤めた職場を定年退職したあの日のことは、今でもはっきり覚えている。
送別会で花束を受け取り、「これで肩の荷が下りる」と思った反面、どこか寂しさもあった。
あれから7年。
67歳になった今、当時の写真を見ると、自分でも驚くほど若く、そして今より痩せていた。
顔つきもどこか引き締まり、「まだまだやれる」という自信がにじみ出ている。
当時は、定年後とはいえ部長職として再就職し、責任の重い日々を送っていた。
収入も今より多く、仕事中心の生活。
それでも、週末になると必ず山へ向かっていた。
思い出①:秋晴の山頂で感じた充実感
ある秋晴の時期、どうしても登りたかった山があった。天気予報は晴れ。ウキウキ気分だった。
登山道は秋風に揺れるススキの群生、上りは順調だった。
頂上について一息。昼食後に下山開始。
一瞬の判断ミスで違うルートに入り込んでしまった。
しかも、かなり下った後で間違いに気づき、下りてきた道をまた上る羽目に。
途中で何度も「今日はやめておけばよかった」と思った。
それでも登り続けて、元の登山道に戻り、正しい道を下山、登山口に着いたときは暗くなっていた。
駐車場に止めていた自分の車に乗った瞬間、ホッとした。
「仕事も同じだな」と、そのとき感じたのを覚えている。
人間なのでミスもするが、ミスに気付いたらすぐに修正することが大切だと。
あの頃の私は、仕事にも山にも、全力で向き合っていた。
思い出②:65歳、退職後の静かな朝
65歳で2度目の定年退職を迎えた翌朝。非常勤として働く新しい職場に出勤した。
慣れない職場で若い上司に仕事を教えて貰い、徐々に仕事を覚えていった。
責任は軽くなり、収入も減ったが、その分、気持ちはずいぶん楽になった。
「働く」ということの意味も、少し変わったように思う。
思い出③:身体の変化に気づいた瞬間
65歳のある日、久しぶりに登った山で、以前より明らかに息が上がる自分に気づいた。
「こんなはずではない」
帰宅後、体重計に乗ると、60歳の頃より体重がかなり増えていた。
それをきっかけに、再びジムに通い始めた。
最初は軽い運動でもきつく感じたが、少しずつ体が戻ってくる感覚があった。
年齢を重ねても、やれば変わる。逆に言えば、やらなければ確実に衰える。
その現実を、身をもって知った。
67歳の今、心から思う「60代でやるべきこと」
こうして振り返ると、60代はただの“老後の始まり”ではなく、「これからの人生を整える時間」だったと感じている。
私なりに、60代前半にやっておいて良かった、あるいはやるべきだと感じることは次の5つ。
1.家計の把握と支出の見直し
収入が減る中で、現実を直視することは避けて通れない。
無駄を減らすだけで、心の余裕も生まれる。
2.運動を習慣にする
山登りでもジムでも構わない。
身体は正直で、動かした分だけ応えてくれる。
3.社会とのつながりを持つ
仕事でも友人関係でもいい。
誰かと関わることで、自分の存在意義を感じられる。
4.家庭円満を意識する
熟年離婚の話もよく耳にする。
熱い関係でなくてもいい、無理のない距離感で続けることが大切だと思う。
5.健康を最優先にする
結局のところ、健康でなければ何も楽しめない。
食事、睡眠、生活習慣のすべてが土台。
60代は、まだ間に合う年代。
そして70代に向けての準備期間でもある。
若い頃のようにはいかないことも増えるが、その分、「どう生きるか」を自分で選べる自由がある。
これからも無理をせず、しかし立ち止まらず、ゆっくりと前に進んでいきたいと思う。


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