失業給付と老齢厚生年金――この2つを「両方とも満額でもらえたら」と考える方はとても多いのではないでしょうか。特に60代前半で退職を迎える会社員にとっては、その後の生活設計に直結する大きなテーマです。
結論から言えば、この2つは原則として同時に満額受給することはできません。失業給付(基本手当)を受けている間は、老齢厚生年金は支給停止となるためです。しかし、「工夫次第で結果的に両方とも満額を受け取る」ことは可能です。そのポイントは、“同時にもらう”のではなく、“受け取るタイミングをずらす”ことにあります。
たとえば、63歳で会社を退職したケースを考えてみましょう。すぐに年金を受け取り始めることもできますが、あえて先に失業給付を受ける選択をすることも可能です。この場合、失業給付を受けている期間は年金が停止されますが、これは「後からまとめてもらえる」という性質のものではありません。つまり、その期間の年金は最初から受け取らないという判断をしていることになります。そして失業給付の受給が終わった後に年金の受給を開始すれば、その時点からは減額されることなく満額の年金を受け取ることができます。
一見すると損をしているように感じるかもしれませんが、実際には失業給付の金額の方が年金より高いケースも多く、トータルで見れば有利になることも少なくありません。ここで重要なのは、「失業給付を優先する期間」と「年金を受け取る期間」をしっかり分けて考えることです。

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さらに、65歳以降になると状況は大きく変わります。65歳未満で受けられる失業給付とは異なり、65歳以降は「高年齢求職者給付金」という一時金の制度に切り替わります。この給付金は年金との併給調整が行われないため、年金を満額受け取りながら給付金も受け取ることが可能です。つまり、このタイミングでは実質的に“両取り”ができる数少ないケースとなります。
また、もう一つの考え方として「年金の繰下げ受給」もあります。65歳以降も年金を受け取らずに繰り下げることで、将来受け取る年金額を増やすことができます。この間に失業給付や高年齢求職者給付金を受けることで、結果的に総受給額を最大化する戦略も考えられます。
このように、失業給付と老齢厚生年金は「同時に満額受給する」ことはできませんが、「受け取る順番やタイミングを工夫する」ことで、結果的にどちらも無駄なく受け取ることは十分に可能です。大切なのは、目先の損得だけで判断するのではなく、数年単位でトータルの受給額を比較する視点です。
退職後の生活設計は人それぞれ異なります。年金額や失業給付の見込み額によって最適な選択も変わってきますので、ご自身の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。もし具体的な数字で比較してみたい場合は、シミュレーションを行うことでより納得のいく選択ができるでしょう。



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