シニアライフ シニアライフ~家族で歩いた“あの夏の京都”~保津川の風と草鞋づくりの記憶
海外勤務の合間に日本へ戻った短い休暇。そのわずかな時間を家族で過ごそうと向かった京都は、まるで物語の舞台が突然目の前に現れたような場所だった。保津川鉄道の窓から見える深い緑と川のきらめき、山の湿った空気、駅のホームに並ぶタヌキの焼き物に子どもたちが笑った声。そのすべてが鮮やかに心に残っている。金閣寺の金色の輝き、銀閣寺の苔庭の静けさ、清水寺の舞台から見下ろした霞む街並み。鞍馬寺の山道では天狗の影を探しながら歩き、夜の花瀬山の家では虫の声が家族の会話を包み込んだ。翌日訪れた知人の実家では、職人が手と足を巧みに使い草鞋を編む姿に子どもたちが息を呑んだ。今はそれぞれ独立した子どもたちとの“最初で最後の京都旅行”。その記憶を物語のように綴った記事です。