はじめに
長年住み続けた愛着ある我が家。いざ売却しようと考えたとき、「購入当時の売買契約書が見つからない!」というケースは意外と多いものです。
実はこの“書類の有無”が、売却時にかかる税金(譲渡所得税)に大きな影響を及ぼす可能性があることをご存じですか?
この記事では、「契約書がないと税金はどうなるのか」「税務上の取り扱い」「契約書がない場合の対策」について、わかりやすく解説します。
1. 不動産売却にかかる税金の基本
不動産を売却した場合、「譲渡所得」が発生します。これは以下の計算式で求められます。
譲渡所得 = 売却価格 −(購入費用 + 諸経費)
この「購入費用」にあたる部分を取得費といいます。契約書があれば、土地・建物それぞれの取得価格が明確に分かり、正しく譲渡所得を計算できます。
2. 契約書がないとどうなる?
契約書が見つからず取得費が証明できない場合、税務署は「概算取得費」を適用することになります。
概算取得費とは?
売却価格の5%を取得費とみなすルールです。
つまり、
取得費 = 売却価格 × 5%
となり、本来よりも譲渡所得が大きくなってしまいます。
【例】
売却価格:3,000万円
本来の取得費:2,000万円 → 譲渡所得:1,000万円
概算取得費:150万円(3,000万円×5%)→ 譲渡所得:2,850万円
このように、契約書がないだけで課税額が大幅に増える可能性があります。
3. 契約書がない場合の対策
安心してください。契約書がなくても、取得費を推定・証明する方法はいくつかあります。
対策①:その他の書類を探す
○領収書・振込記録
○固定資産税評価証明書
○住宅ローンの契約書・返済明細
○不動産会社とのやり取りの記録(メールなど)
これらの資料を集め、購入当時の価格をできるだけ正確に再現することが重要です。
対策②:不動産会社・金融機関に問い合わせる
購入時に仲介した不動産会社や、住宅ローンを組んだ銀行などに当時の資料が残っていないか確認しましょう。
対策③:税理士に相談する
状況によっては、取得費を推計したうえで、税務署へ説明・交渉が可能なケースもあります。経験のある税理士に相談することで、不要な課税を防げる可能性があります。
4. 特例の適用も忘れずに!
長年住んでいたマイホームを売却する場合、以下の特例が適用できることがあります。
○3,000万円特別控除(マイホームの売却益から3,000万円を控除)
○10年超所有軽減税率(所有期間が10年超の場合の優遇税率)
不動産を10年以上所有したマイホームを売却すると、軽減税率の特例が適用され、通常の長期譲渡所得(税率20.315%)よりも低い税率で課税されます。売却益6,000万円以下の部分は14.21%(所得税10.21%+住民税4%)に軽減されます。
これらの特例は取得費の有無に関係なく使える可能性があるため、適用条件を確認しておきましょう。
まとめ
○契約書がないと「概算取得費」が適用され、税金が高くなる可能性あり
○他の資料や記録を集めて、取得費を証明することが重要
○特例の適用で税負担を軽減できるケースもあり
○早めに税理士など専門家に相談するのがベスト!
「売却する家はあっても、契約書がない!」そんな方も諦めず、しっかり対策をして損をしない売却を目指しましょう。
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