ただでさえわかりにくい年金なのに今後さらに進む少子高齢化。
おそらく今の若者の大半が、これからの少子高齢化が原因でいずれは年金が破綻するのではと、思っているのではないだろうか。
いや、若者だけじゃなく私だってこのまま少子高齢化が進めば、年金が破綻まではしなくても貰える年金は際限なく減り続けるのではと本気で思っていた。
経済コラムニストの大江英樹氏の意見を紹介しよう。
大江氏に言わせると、日本の年金制度に不安を抱いている人のほとんどが年金制度を誤解しているそうだ。
何を誤解しているかというと、年金とは貯蓄ではなくて保険だということ。
毎月、給与から控除されている社会保険を貯金という人がいるだろうか。
社会保険というくらいだから保険なのである。
その時点で既に勘違いは始まっている。
貯蓄だったら、貯蓄額以上にお金を使ってしまえばなくなってしまうのは当然だ。
しかし年金は保険だから、一部の困っている人のために大勢の人のお金が使われるだけのこと。
その困っている人とは誰かというと、障害のある方や働き手を失った遺族、あるいは高齢となって働けなくなった人たち。
つまり大多数は高齢者が貰う年金だ。
少子高齢化が進む日本では、将来、高齢化によって高齢者は増え続ける。
一方、少子化によって現役世代が減り続ける。
すると現役世代1人で何人の高齢者の年金を負担しなければならないのか?
2022年版の「高齢社会白書」によると、「1950年時点では12.1人の生産年齢人口で1人の高齢者を支えていた。これが2021年時点では2.1人。さらに2045年の予想人口比率では1.4人にまで減少する」とのこと。
つまり、昔は12人で1人の高齢者の年金を負担していた。
しかし、最近では2人で1人の高齢者の年金を負担しなければならない。
老人の面倒なんて見たくない人にとって、自分の給料から老人のためのお金が差し引かれるなんて死んでもいやだ!
みんなそう思うだろう。
しかし若者だってそのうち大嫌いな老人になるのだ!
そうではない。
正しい理解とはこうだ。
「働いていない人を働いている人が支える」
これが正しい年金の理解だ。
もっと少子高齢化が進んだ20年後には1.4人で1人の高齢者の年金を負担することになる。
その時に年金は破綻しないのか。
本当に自分が高齢者になった時に年金は今と変わらない金額を貰えるのか?
あなた!そう同じ金額を貰えると思っているあなた。
先ほども言ったように社会保険とは働いている人が払う保険だ。
実は今の世の中、働いている人は増えていること知っているか?
昔は会社の定年は55歳だった。
ところが最近では60歳が当たり前。
65歳まで再雇用や定年延長を実施している企業は多い。
さらに女性の社会進出により働く人の数は増え、したがって社会保険料を払っている人の数も増えている。
それを理解できれば、将来は年金が破綻すると無駄に心配することはないということだ。
年金は日本が消滅しない限り破綻することはない。
しかし年金の受給額はずっと変わらないかというとそうではない。
将来の年金支給額は減る。
それは間違いない!
そこで問題なのはどれくらい減るのかということだろう。
日本の年金制度は『賦課方式』という方法を採用している。
これは年金が破綻しない大きな理由だが、簡単に言うと働いている人の保険料がそのまま年金受給者に支給されるシステムということである。
これが「賦課方式」でなく「積立方式』だったら違ってくる。
積立てたお金が無くなれば当然年金は破綻するのだ。
ただし「賦課方式」でもわずかに積立金もあるそうで、それを運用しているのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関だ。
時々、運用に失敗して大きな損失を出した時にメディアによく叩かれている機関だ。
ただしマイナスを出したからといってみなさんが心配する必要はない。
これまでの運用実績は、年率+3.38%(2001年~2022年第3四半期)とプラスなのである。
なんて優秀なのだ!
話を戻して、年金はどれくらい減るのかということを説明しよう。
まず、政府は前述の『賦課方式』により、これまでは働く人たちの保険料を引き上げることで政府は財政を維持しようとしてきた。
しかしそれでは働く人たちの負担が将来的に大きくなり過ぎるので、今度は年金の受給額を減らす方向に政府は転じたのである。
要するに収入を増やす方向から支出を減らす方向へシフトしたということだ。
まあこれは一般家庭でも同じことだな。
給料が減れば、当然、生活費の節約に頑張る。
当然の話である。
ではこれから年金はいったいいくらくらい減るのか。
年金は将来20%から30%くらい減る!
これは、厚生労働省の財政検証レポートからの数字なので間違いない。
結論として、将来の年金が破綻しないことは分かったが、年金が大きく減るというのも現実なのである。
それも20%から30%という大幅な減少。
もちろん、今後の日本経済の浮き沈みにも年金は大きく影響を受けるだろう。
日本は経済が低迷し賃金が上がらないと言われて久しい。この状況を打破し企業の業績回復と賃金アップが同時進行しなければ、将来の年金が最悪のシナリオになるのは間違いない。
だから、今年65歳になる私は現役世代に、老後に金を稼ぐ方法を今のうちに考えておきなさいと言いたい。
思いつかないなら、老後も仕事を選ばずに働きなさい。PPK(ピンピンコロリ)が理想だ。
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